絵画・作品の価値

いつだったか、フランス発のニュースで、市場で買った数千円のアンティークが、実は有名な画家のものだったと分かり、後に数百万円の値段が付いたものがある、という話がありました。

アンティークや絵画に興味のない人にはあまり知られていませんが、オークションで数億円の絵が取引される作家の作品の一部は、まだまだこの世のどこかにひっそりと眠っており、有名作家のものだと認識されていないものがあります。



家の物置に代々受け継がれて置かれているものや、何気なく飾っていたものが、実は大変な金額で取引される可能性があるのです。そんなものが自宅に眠っていることも知らずにいたり、毎日見ているものに価値があるなどとは思わないものなのかもしれませんね。
確かに素人にはこの色彩が誰々の特徴と同じ、この印、模様は誰の作品と似ているなどとは分からないものです。



先日のニュースで知りましたが、東京大学の中央食堂は東大140周年記念の一環として、全面改修工事が行われました。2018年3月末に完成したのですが、この工事を有名にしたのがあるエピソードです。
1977年から約40年間食堂の壁に飾られていた宇佐美圭司さんの絵画が、改修工事の過程で廃棄処分されていたのです。

絵画の所有権は東大生協にあったもので、東京大学の資産ではありませんでした。
しかし、工事の監修をした東大の教授は作品の価値を知っていたため、打ち合わせのときに、保存のための新たな設置場所を指定していたそうです。
ところがその要望がうまく伝わっておらず、所有権を持つ東大生協が廃棄処分の判断をしたという経緯があります。

中央食堂の利用者が指摘するまで半年以上が過ぎ、廃棄が分かったそうです。
東大側では作品の価値を知っていただけに、大変悔しい結果となったように思われます。
所有者が必ず作品の価値を知っているとは言えない事例。



みなさんもなんとなく購入した作品、受け継がれてきた骨董品を買取業者に出してみると、その作品が生み出された背景、本当の価値が分かり、これまで以上に大切にしようと思えるかもしれませんね。